ベンチプレスでベンチを無理やり押そうとするのは逆効果
以前、ベンチプレスはバーベルを押すトレーニングではなく、ベンチを押すトレーニングであるという記事を書きましたが、これは、意図的にベンチを押すべきという意味ではありません。
<参考>
今回は、そのことを記事にしたいと思います。
ベンチプレスは、自らの身体が、バーベルとベンチの間の「つっかえ棒」となり、またはバーベルを置く台座となるようなトレーニングです。
台座やつっかえ棒は、ただの「台」であり、「棒」であるので、自らの意思で地面やベンチやバーベルを押すことがありません。
いずれも、外部の圧力がますほど力を発揮するものです。
例えば、テーブルを考えてみましょう。
何も乗っていないテーブルは、テーブル自身の重さ分だけ床を押している状態です。
そして、床も、テーブルの重さで押された分、反作用としてテーブルと同じ重さと同じ力を返しています。
当然、この2つの力はつり合うので、テーブルは静止したままです。
<参考>
では、テーブルにコップを置いてみましょう。
テーブルにコップを置いたとしても、テーブルが折れたりしない限り、テーブルは静止したままです。
しかし、テーブルはコップが乗ったことによって、テーブルとコップを足した重さにあたる力で床を押しています。
そして、床ももちろん、同じ力を返すからこそ、テーブルは静止したままです。
テーブルは押そうとしたわけではないのに、コップが乗ることによって、床を押す力が増しており、そして、床からの反作用も増しています。
これをベンチプレスにあてはまめると、床がベンチ、コップがバーベル、そして、テーブルがトレーニーなのです。
つまり、バーベルの重さが増えれば増えるほど、ベンチを押す力は増すのです。
だからといって、バーベルが重ければ重いほどいいかというとそうではありません。
テーブルに車を乗せたなら、おそらくテーブルは折れてしまうでしょう。
これは、ベンチプレスでいわゆる「つぶれた」状態です。
ベンチプレスにおいては、フォームを維持することが重要であり、フォームが崩れるということは、テーブルが折れるのに等しい状態なのです。
ただ、ベンチプレスとテーブルで違う点があります。
それは、地面に対して垂直近い状態で柱が出ていないという点です。
図を見てもらうともうわかってしまったかもしれませんが、ベンチに加える力を増やすのには、「アーチを高くする」必要があるのです。
アーチが低くなってしまうと、図にある通り、反作用の力が頭方向に逃げ、背中が頭方向にすべっていったりと力のロスにつながります。
ぜひ試してもらいたいのですが、バーベルを掲げた状態で、アーチの高さを変えると、アーチを高くしたほうが肩甲骨がベンチを押し込む感覚が強くなることを実感してもらえると思います。
だからといって、無理にアーチを高くしようとすると、床を踏むことになり、結局台座としての身体の存在を逸脱することになってしまいます。
<参考>

ベンチプレスの強い人は、アーチを高く保つことができています。
あなたがもし、ベンチプレスに強くなりたいなら、ストレッチをして柔軟性をあげることに力を入れるといいかもしれません。