「なぜかわからないけど身体が痛い」
あなたは今まで原因のわからない身体の痛みに悩まされたことはありませんか?
痛いから病院に行ったとしても、検査して「異常なし」とされれば、全然とりあってくれない。
ひどい場合だと痛みがあることすら信じてくれない。
たとえ、信じてくれたとしても、痛みの原因は「加齢」や「筋肉不足」とされ、誰しもに訪れることだからとあきらめるか、マニュアルを渡され筋トレをすすめられることになる。
あるいは、痛みが強いからと薬をもらって飲んでいるけど、一向に痛みが改善する兆しがない。
これらは、僕が実際にお客さんたちから聞いた話です。
このような原因不明の身体の痛みや、病院に通っても改善しない痛みは、
姿勢が悪いことによって引き起こされているかもしれません。
姿勢は24時間365日にわたって僕たちに関わるものです。
つまり、日々の姿勢の良し悪しによって、時間が経過すればするほど、身体に積み上げられる負担の大きさには天と地ほどの差が広がってきます。
この負担が許容を超えると痛みが生じてくるわけです。
負担は目に見えず、痛みがあるからといって、目に見える形になっていないことが多いです。
そして、原因が見つからなければ原因不明の身体の痛みとされてしまいます。
病院は医学的根拠に基づいて治療行為を行うため、これは仕方ない部分でもあるのかもしれません。
姿勢の影響が積み重なるものであることを考えると、
今痛みがない人も安心はできません。
たとえ、姿勢が悪くなって負担が大きくなったとしても、今すぐに何か起こるということはありません。
しかし、その負担が長期間続けばどうでしょうか?
1日、1週間、1ヶ月、半年、1年、5年、10年、、、
悪い姿勢による負担の増大は時限爆弾のようなものです。
取り除かれなければ、爆弾のタイマーは着々と進んでいきます。
そして、時間が経ってから、時限爆弾が爆発するように、身体に痛みを引き起こす可能性があるのです。
しかも、多くの場合、爆発してみないと爆弾のタイマーが進んでいることに気づかないし、どれだけの規模の爆発を起こすかもわかりません。
タイマーが進んでいるかもわからない。
いつ起爆時間になるかもわからない。
どれだけの規模の爆発になるかもわからない。
めちゃくちゃ怖くないですか?
姿勢の影響の恐ろしさはここにあります。
この恐ろしさを実際に体感した方が僕のお客さんでいらっしゃいます。
「Aさん」としましょうか。
出会った当時は60代後半の女性で、「身体を動かすのが楽しい」「筋トレが大好き」という人でした。
僕はAさんに初めて会って姿勢を見たときに、この頃は直感的にではありましたが左膝への負担が大きそうだと感じたんですよね。
だから、僕はこの人に素直に感じたまま「このままだと将来左膝を痛めますよ」と話しました。
Aさんは「将来左膝を痛める」と言われたことに対して、
「こいつ、売り込むためにそんなこと言っているな」と、
セールスのための脅し文句、セールストークくらいに考えていたそうです。
その後、Aさんとは、膝とは別に「トレーニングの正しいやり方が知りたい」ということでトレーニングのお付き合いをさせていただくことになりました。
もちろん、トレーニングのやり方をお伝えしていくことになるんですけど、僕としては左膝がどうしても気になっていたんですよね。
なので、たま~に左膝のことについては「姿勢を良くして負担を減らしたほうがいいですよ」とお話していました。
そのためにどうしたらいいかも付け加えて。
ただ、そのAさんは性格上ちまちまと地味なことをするのが嫌いで、トレーニングも「やった感」「鍛えた感」「疲労感」が強いものを好みました。
だから僕の話には興味がわくわけもなく、あまり話を聞いてくれる様子ではありませんでした。
そのうち、僕も強くは言わなくなっていました。
今思えば、僕はたとえAさんに嫌われたとしても、もっと強く言い続けておくべきでした。
というのは、実はAさんの身体では、時限爆弾のタイマーは静かに時間が進んでいたのです。
そして、ついに爆発するときがきます。
トレーニングを見させてもらうようになってから4年ほど経ったころ、Aさんは僕が予見していた通り、本当に左膝を痛めることになってしまったのです。
左膝の曲げ伸ばしや足に体重がかかると痛みが走り、普通に歩くことすら難しいという厳しい状態。
Aさん本人からすると、何も思い当たるきっかけもなく、突然の出来事でした。
膝の痛みは、病院ではよく膝周りの「筋力不足」と指摘されることがあります。
しかし、Aさんの場合はトレーニング好きでしっかりと鍛えられていました。
だから、筋力不足が原因とは考えにくいのです。
Aさんは、このとき4年前に言っていた僕の「このままだと左膝を痛めますよ」という言葉を思い出したそうです。
そして、Aさんは僕の言葉がようやく単なるセールストークでなかったこと、そして姿勢の影響の大きさに気づくことになったのです。
それからAさんは病院に行きました。
病院ではなんと「手術の必要があるかも」と言われてしまいました。
本人からしたら「そこまでひどいの!?」と驚くとともに怖くなったそうです。
時限爆弾の爆発規模は爆発してみてはじめてわかるものですからね。
幸運だったのは、詳細に検査してもらった結果、「手術する段階にはまだきていない」とのことでした。
ただ、膝の半月板という太腿の骨と脛の骨の間でクッションの役割をする組織に亀裂が入ってしまっていました。
ちなみに、半月板は再生することはない(今後再生医療が発展すればできるかも)そうです。
それから、Aさんも本気で姿勢改善に取り組むようになり、日常生活や軽いトレーニングでは膝の痛みが気にならない程度まで回復しました。
ただ、以前のように飛び跳ねたり、激しいトレーニングはできていません。
やってみたらできないことはないでしょうが、膝の状態もありますし、何より痛めたときの記憶が恐怖となって、Aさんを縛りつけてしまっているのです。
もし、もっと早く姿勢改善に取り組んでいれば、ここまでの状態にはならなかったかもしれません。
僕が「もっと姿勢について言い続ければこのような事態にはならなかったかも」と後悔していることでもあります。
姿勢の影響力は、膝だけでなく、痛みに対する不安を植え付け、Aさんの人生を大きく変えてしまったのです。
Aさんはトレーニングや身体を動かすことが大好きです。
膝の手術なんてことになっていたら、まったく別物の人生になっていたでしょう。
あなたはどう思われましたか?
Aさんのように、多くの人は実際に「痛み」を受けなければ姿勢の影響力の大きさになかなか気づくことはできません。
それどころか、痛めても「姿勢の悪さ」に気づけないかもしれません。
「痛めたときには取り返しがつかない」
ということは十分にあり得る話です。
だからこそ、先んじて手を打っておく必要があります。
この姿勢の悪影響である爆弾の芽をつみ、快適な状態を保つ本質的な対処法こそが「良い姿勢でいること」なのです。
良い姿勢を常に保とうとするのは、なんだかしんどそうで「楽」じゃないと思われるかもしれません。
ただ、ここでちょっと考えてみてください。
今からちょっとずつ姿勢を改善していくのと、
今何もせずに、将来膝を壊して手術になったり、自分の脚で歩けなくなるかもしれないという危険を放置するのと、
どっちが本当に「楽」でしょうか?
僕が伝えたい「楽」や「快適」とはそういうことです。
誰かに与えられるものではなく、自らつかみとるものなのです。