姿勢が理解できるようになると、
良い姿勢がわかるだけでなく、
どんな姿勢の状態だと辛いか
ということもわかってきます。
そうなると、だんだん相手の姿勢での
感覚もだんだん想像できるよう
になってきます。
そして、どうすれば楽になれるか
もわかるので、相手が楽になれる
ようにしてあげるだけで、
多くの人が気づかない部分に
対しての気遣いができるので
想像以上に喜ばれたりするのです。
気遣いというと、よく相手の
立場になって考えることが大事
なんていいますが、
自分の経験したことのない、
関心を向けたことのないところを
想像するのは至難の業です。
相手の姿勢について考える人
なんてほとんどいません。
だからこそ、相手の姿勢にまで気遣える
だけで、相手に「この人気遣いがすごい」
と思ってもらえるんですね。
僕のお客さんで看護師として働いている
方がいます。
仕事ではもちろん、いろんな患者さんと
接することがあります。
その中で、車椅子に乗っている
患者さんの看護をしていて、
その患者さんがいつも「腰が痛い」
と訴えていたそうなんですね。
でも、訴えを聞いた当初は
どうしてあげることもできなかった
そうです。
そんな折、僕のセッションを受けるようになって、
姿勢について理解するようになりました。
すると、再び同じ車椅子の患者さんの看護をしたときに、
「もしかしたら、腰が痛いのは、この患者さんの座る姿勢に対して
車椅子の形状が合っていないのかもしれない」
と思ったそうです。
とはいっても、車椅子の形状を変えることはできません。
ただ、その患者さんは、男性で、車椅子に乗っているときは、
常に、足を載せる台に足を置いていたそうです。
そこで、お客様は車椅子を動かしていないときに、
足を台から降ろしてもいいということを伝えました。
すると、患者さんは即座に足を降ろしたそうです。
おそらく、患者さんは車椅子に乗っている間は、
足を台に乗せておかないといけないと思っていたのでしょう。
実際は、移動するときだけ台に載せておけば十分なのです。
その患者さんからは、それから「腰が痛い」
ということも聞かなくなったそうです。
変わったのは、足を台に乗せているか、
地面に下ろしているだけです。
おそらく、地面と台との間は10センチもないでしょう。
しかし、この10センチの差は、想像以上に
大きいのです。
この差に気づけるかどうかは、
気遣いのレベルを何倍にも向上させてくれるでしょう。
これを応用すれば、
例えば、経営者の人だったら、
社員の座る体格や姿勢に合わせて、
少しクッションを入れたり、
椅子の高さを調節してやるだけで、
座るのが楽になり、気遣いができる
と思われるだけでなく、社員の仕事効率
がアップするかもしれません。
カフェのような長時間滞在してもらう
お店を運営しているなら、
高さが変更できる椅子か、
あるいは高さの違う椅子を用意して
あげれば、お客さんに
「ホスピタリティの高い店」
と認知してもらえるかもしれません。
車の販売員の人なら、
体格に合わせて、楽な姿勢がとれるか
という観点から
車を勧められることで、
他の営業と差別化をはかることが
できるかもしれません。
仕事とは、相手の役に立つことです。
気遣いができるということは、
相手のことを考えることができるという
ことであり、
仕事自体の質が上がることである
といっても過言ではありません。
姿勢を理解することで
人とは違う目線から気遣いができ、
仕事の質を高めることにも
つながってくるんです。