「食べる量もそんなに多くないし、運動もしてるのに痩せないな~」
「ダイエットして体重は標準なはずなのに見た目はもっとあるように見える」
「いかり肩で肩幅が広い」
「太ももの横の尻なのか脚なのか分からない肉がとれない」
「太腿は普通なのにふくらはぎだけやたら太くなる」
「ウエストのくびれが出ないな~」
「お尻の肉がつかずに垂れてぺたんこ」
なんてあなたは悩んでいたりしていませんか?
これらは、姿勢が悪いことでそのような体型になってしまっているかもしれません。
僕は街や駅なんかを歩いているときに、職業柄でもあるんですが、よく行き交う人の姿勢を観察をしてしまいます。
そうやって観察していると、姿勢によって共通する部分があることがわかってくるんですよね。
例えば、姿勢が悪く見える人には、細い人も太った人もいます。
しかし、太っている人に姿勢が良く見える人はいないんですよね。
あなたも、変な人に思われない程度に周囲の人の姿勢を見てみてください。
「姿勢が先か、体型が先か」という因果の順はわかりませんが、姿勢が悪いと体型が崩れやすいのは間違いありません。
これはなぜかというと、日々生活していく上で使われる筋肉に偏りが生じてしまうからです。
例えば、反り腰気味だと、太ももの前側の筋肉やふくらはぎに負担が集中しやすくなります。
なので、太腿が太くなってしまったり、ふくらはぎが太い「ししゃも足」になってしまいやすいです。
というのは、つま先の方に重心が寄ってしまって、立っているだけで地面を踏んづけて身体を起こしているような姿勢になってしまうからです。
たまにマンガとかで「崖ぎりぎりで落ちないようになんとか耐えている」ときの姿勢ってありますよね。
反り腰気味の人の姿勢って、おおげさにいうとまさにそんな感じです。
反り腰とは逆に、腰が丸くなってしまっていると、腰で上半身の体重を受け止めやすくなります。
その結果、お腹をコルセットのように引き締める筋肉が力を発揮しづらくなって、ぽっこりお腹が目立つようになりやすいです。
頭も前方に出すようになってしまい、肩こりや首こりの原因にもなってしまいます。

僕の友人で、周りからは姿勢が良いと言われていた女の子がいるのですが、その子にさらに良い姿勢になるようにちょっとアドバイスしたところ、以前の姿勢との差に驚いて
「太腿にこんなに力が入ってたなんて今まで気づかなかった」
といっていました。
ちなみに、僕が観察してきた中で、1番印象に残っている姿勢は、街中で見かけたおじいちゃんでした。
身体全体を見ると少しふっくらしている程度なのに、首の付け根周りだけボディービルダーのように盛り上がったおじいちゃんがいたのです。
姿勢をみると、腰から背中まで全体が丸くなってしまっていて、頭の位置もかなり前方にありました。
首が上ではなく前方に伸びてしまっているのです。
イメージでいうと、「千と千尋の神隠し」というジブリ映画に出てくる「釜爺」みたいな姿勢になっていたのです。
わかりますかね?

なので、必然的に顎が上がることになり、頭や腕の重さを支えるために肩の筋肉が異様に発達してしまったのでしょう。
見ているだけでもすごく辛そうに感じてしまいます。
ここまでお伝えしてきたように、姿勢が悪いと、生活していく上で使われる筋肉に偏りが出てきて、体型もちぐはぐでアンバランスになってしまうのです。
だから、体型が気になるのではあれば、食事制限や筋トレを頑張るのもいいのですが、その前に、まずは日常である姿勢を変えてみることをおすすめします。
日常である姿勢が良くなると、無理せずバランス良く筋肉が使われるようになり、体型も均整がとれるようになるからです。
食事やトレーニングを頑張るのは、それからでも遅くありません。
良い姿勢の基本的な考え方は、「負担の分散」にあります。
分散しているからこそ様々な筋肉がバランス良く使われ、一部だけが発達していない、見た目にもバランスの良い体型になります。
必要なところに必要な分だけ「力が入ってくる」からです。
「力が入ってくる」という言い方をわざわざしましたが、これは自ら力を入れるのではなく、良い姿勢になれば勝手に力が入ってくることを意味しています。
よく、「良い姿勢になるために腹筋に力を入れよう、お腹を凹ませよう」というアドバイスが言われていたりします。
しかし、実際は順序が逆なんです。
良い姿勢になれば、お腹は勝手に凹むような力が入るのです。
身体はそのように設定されています。
実際にその設定を確かめてみましょう。
立って腰に手を当てた状態で、腰を丸めてみてください。
まっすぐ立った状態に比べて、腰の筋肉が固くなっているのがわかると思います。
これは、背骨の積み木が前方に崩れてしまわないように筋肉が「勝手に」働いて支えているからです。
あなたが腰の筋肉を意識しているわけではありませんよね?
このように筋肉は、僕たちが人間としての形を維持するために、必要があれば力が入ってくるような設定になっています。
自動設定がされている中、下手に自分の意思で筋肉の力を入れてしまうと、姿勢改善どころか、姿勢を崩してしまう可能性すらあるのです。
姿勢は24時間365日かかわってくるもの。
良い姿勢でいられると、そこには「機能美」が生じます。
スポーツカーが公道ではその能力を発揮できなくても憧れる人が多いのは、速く走ることを追求した美しさがあるからです。
また、日本刀に惹かれる人が多いのは、「切るための鋭さ」と「壊れない丈夫さ」という2つの機能を追求した美しさが、シャープな刀の形と刃文に現れているからです。
それは、人間の身体も同じです。
良い姿勢でいることで、負担を分散してバランスよく使われることで磨かれた身体には「姿勢による機能美」が生まれるのです。
長く伸びた首
鎖骨が見える
厚めの胸板
上向きなバスト
逆三角形の背中
贅肉の少ない背中
ダブつかない二の腕
引き締まりくびれのあるウエスト
適度に盛り上がった背中から腰にかけての隆起
たくましい臀部
丸みを帯びたお尻
脚の付け根から足首にかけてスラっと伸びる脚
などなど
これらは、良い姿勢になって負担の分散を追求した結果得られるものです。
良い姿勢は「かっこよく」「美しい」身体をつくるのです。
あなたは自分の体型が良くないと思っていますか?
もし思っているなら、遺伝や骨格のせいにしてしまっていませんか?
確かに、受け継いだ血は変えられないし、骨格も手術でもしない限り大きく変わらないかもしれません。
僕も「おでこがもうちょっと広かったらな(僕のおでこは4cmもなく、今でもイジられることがあります)」とか
「身長が180cmを超えていたらな(僕は177cmで弟が180cmを超えているのが嫌だった)」とか
「あばら骨がもっと引っ込んでくれたらなあ(あばら骨が前方に突き出ていて、お腹が出ているように見える)」とか
「脚がもっと長かったらな(いつもズボンの裾上げで切る生地が大きくて恥ずかしかった)」とか
思うことはあります。
ただ、生まれもった骨格が気に入らないとなげいても、骨格は変わりません。
であれば、今の自分の骨格で最大限の機能美を、自らつくっていったほうが前向きだと思いませんか?
姿勢を改善をすることは、あなたの生まれもった身体の持つポテンシャルを最大限引き出すことにつながります。