姿勢について理解し、普段の生活でも気をつけて意識的に姿勢を保つようにできるようになってくると、次の悩みが訪れます。
それは、「ずっと気をつけていなければならないの?」という悩みです。
人は、常にさまざまなことを考えながら、活動し、暮らしています。
そんな中で、ずっと姿勢のことについて考え、常に気をつけることなんてできません。
仕事中であれば、どうしても身体に負担をかける姿勢をとらなければならない場合もあると思います。
ここまでくると、姿勢については、次の段階に進まなければなりません。
つまり、今まで意図的、意識的にとっていた姿勢を、無意識でもできるようにする段階です。
この段階において、まず頭にいれておかなければならないのことがあります。
それは、「常に良い姿勢をとれるわけではない」ということです。
なんだか矛盾しているようですが、意識的に良い姿勢をとろうとしてきたのであれば、理解できると思います。
前述したように、日常生活におけるさまざまな活動、常に変化する体勢、そして、姿勢に対する意識がどれくらい頭の中にあるのか。常に状況は変化します。
その中で、姿勢を無意識化するためには、①良い姿勢の状態を知り、正常な感覚として受け入れること、②姿勢が崩れたときに気づき、修正できること、③良い姿勢をとりやすい身体の状態にすることが必要です。
①については、良い姿勢の状態を知ることについては、足裏の感覚として、認識しておく必要があります。
足裏に感じる圧力が高いほど、つまり、足裏に重さを感じれば感じるほど良い姿勢であるといえます。
このあたりは別の記事でも述べてきました。
この良い姿勢の状態の足裏の感覚が自然と思えるようになれば、この感覚が基準となり、この感覚に変化が起こったとき、違和感として感知できるようになります。
そして、このことは③につながってきます。
次に②の姿勢が崩れたときに気づき、修正できることについてですが、①で良い姿勢の基準となる足裏の感覚があるので、姿勢が崩れたときは足裏の感覚が変化し、感知することができるようになります。
そして、その崩れた姿勢の修正は、元の良い姿勢の状態の足裏の感覚になるような体勢にすれば大丈夫です。
すでに意識的には良い姿勢をつくれるようになっているはずなので、すぐに戻すことができると思います。
どちらかというと、姿勢が崩れたときに違和感として感じ取れることができるかという感覚の繊細さのほうが重要だと思います。
そして、③の良い姿勢をとりやすい身体の状態にするについてですが、端的にいえば、柔軟性を向上させるというのが、その対処法となります。
身体の各部の可動域は、筋肉の柔軟性によるところが大きいです。
可動域と簡単に書いてしまっていますが、ここでいう可動域は、力の抵抗なく楽に動かせる可動域のことをいいます。
身体を動かす骨格筋は、常に対・拮抗の関係性を保って存在しています。
対・拮抗の関係性というのは、たとえば、肘を曲げる筋肉があれば、肘を伸ばす筋肉が存在するように、逆の働きをする筋肉が存在しているということです。
ある筋肉の働きに注目したとき、逆の働きをする筋肉を拮抗筋、注目した筋肉を主動筋なんて呼んだりします。
可動域が狭いということは、例えば、肘を曲げようとしたときに、肘を伸ばす筋肉による抵抗が起こりやすいということです。
このとき、肘を伸ばす筋肉の柔軟性が高ければ、肘を曲げる抵抗が少なくなるので、楽に曲げることができます。
このように楽に動かせる可動域を広げるために柔軟性を向上させる必要があるのです。
もし良い姿勢をとろうとしたときに、拮抗筋の抵抗にあっていれば、常にその抵抗に耐えるために主動筋の力を入れ続けなければなりませんからね。
そんな状態で無意識で良い姿勢なんてとれるはずがありません。
拮抗筋の抵抗を減らし楽に動かせる可動域を広げることが、良い姿勢をとりやすい身体の状態にすることになります。
以上3点を実践できるようになれば、普段の生活で姿勢を気にする時間は確実に減ってきますし、姿勢が悪くなれば、かゆいところを無意識に掻くように、無意識に姿勢を修正するようになるでしょう。