先日、テレビ番組で、「足」をテーマにして放送されていました。
その中で、足裏にインソールを入れることによって、通常では持てないような重さの荷物を持てるようになるという実験をしていました。
もちろん、番組なので、インソールを入れることによって重いものを持てるようになるのですが、なぜ、そのような結果になるかの理由は説明されていませんでした。
では、インソールを入れることによって何が起こるのか?
それは、「骨の積み木が揃う」のです。
骨の積み木がずれていると、そもそもその積み木を正そうとするために筋力が使われてしまうので、物を持つために使える筋力が減り、重いものだと持てなくなってしまいます。
積み木がそろえば、積み木を正す必要が少ないので、力を出すために十分に力が発揮でき、重いものを持てるようになります。
筋肉の量が一瞬で変化するわけはないので、この差は筋力の差ではありません。
身体にあるものをどう活用するかという身体の使い方の問題なのです。
特に、足裏は骨の積み木の最下層にあたる部分です。足裏が地面に対してきちんと積まれてくれないと、その上にある身体の大部分もズレていくことになります。
「ジェンガ」というおもちゃをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。

ジェンガは、一定の形で積まれた積み木を一番上の段以外から抜いていき、抜いた積み木を一番上の段に積み上げ、積み木を崩した人が負け、というゲームです。
このとき、上のほうを抜けば安全度が高く、下のほうを抜けば危険度が高いということはわかると思います。
そして、積み木を抜く前の最初に積み上げられた状態が1番安定しているのもわかると思います。

そして、積み木を抜いたときは、ほぼ抜いた側の反対側に積んだほうが安定するのもイメージしてもらえるかと思います。
人間に置き換えれば、足裏がきちんと地面についていないということは、ジェンガの1番下の積み木を抜いたのとよく似た状態なのです。
そんな状態では、ジェンガに積み木を積むのも大変なのはわかりますよね。
積むのが大変ということは、人間でいうと、重いものが持ちづらいということでもあります。
ジェンガがゲームの開始時の安定した状態のままでもしあったなら、その上に多少積み木じゃない重いものを乗せても倒れずに維持できるでしょう。
これは、骨の積み木がきちんと積まれていれば、重いものが持てるということです。
実際、私のお客様のトレーニングにおいて、骨の積み木が積まれるようにフォームを修正したところ、最大挙上重量が20キロも上昇しました。
それくらい、骨の積み木をきちんと積むことの効果は絶大なのです。
ただ、その積み木の積み方をインソールに頼るというのは、ちょっと心配になります。
なぜなら、インソールがないと骨の積み木をきちんと積めない身体になってしまうからです。
インソールが悪いものだとは思いませんが、自らの足裏できちんと骨の積み木を積めるようになることが理想的だと思います。
そのためには、重力と骨の積み木の積み方をまず理解することが必要です。
理解さえあれば、あとはその理解に基づいて練習するのみです。
身体の状態によっては、すぐ積めるようになる人もいますし、時間のかかる人もいます。
私のパーソナルセッションであれば、骨の積み木の積み方の理解から、積むためにどうすればいいのか、そして、そのための身体調整までお手伝いしています。
ぜひうまく活用して、身体をより快適なものしてほしいです。