人間は骨の積み木です。
その積み木の柱となる背骨は、生理的湾曲というS字の状態が通常となる構造になっています。
背骨が柱であるならば、ずれて積みあがっているより、まっすぐ積みあがったほうが確実に安定しやすいように思えます。
それにもかかわらず、背骨はS字にカーブの構造なのです。
不思議に思いませんか?
なぜ、背骨はS字カーブになっているのでしょうか?
その理由は、実は衝撃を和らげるためなのです。
衝撃緩和といっても、あまりピンとこないかもしれません。
S字カーブの衝撃緩和機能について考えるなら、いい比較例があります。
それは瓦割りです。
瓦割りは、あなたも知っての通り、積み重ねた瓦を上から叩くことにより、何枚割れるかを見せるパフォーマンスです。
このとき、瓦は綺麗に積まれています。
めちゃくちゃに積まれた瓦で行う瓦割りは見たことがないですね。
これを、背骨という積み木が、S字ではなく、まっすぐに積まれている状態と考えてください。
積まれた積み木に上から衝撃(外力)を与えると、直接衝撃を受けた積み木はもちろん、その下の積み木にも衝撃が伝わります。
このとき、次の図のように、綺麗に積まれた状態、すなわち、衝撃直接を受ける上の積み木の底と、その下にある積み木の天井の面がともに衝撃の力の方向に対して水平にある状態です。
この状態で鉛直方向(上から下方向)に衝撃を受けると、衝撃を直接受けた上の積み木は、下の積み木にぴったり積み上がっているので、動きません。
積み木が動かないと、衝撃の逃げ場がなく、衝撃は積み木を通過する最低限(積み木が衝撃を押し返す力)だけ緩和され、残りはそのまま下の積み木に伝わっていきます。
瓦割りの場合は、瓦を叩く衝撃が下の瓦に伝わり、割れやすくなるように、綺麗に積まれているのです。
積み木が柔らかい素材ならば積み木自体が衝撃を受けて形を変えることより、緩衝材になりますが、瓦や背骨自体はもちろん硬いので、素材自体では、ほとんど緩和することができません。
ちなみに、背骨の積み木の1つ1つの間には「軟骨」という柔らかい組織があり、これが衝撃を緩和してくれる仕組みの1つになってはいます。
ただ軟骨に関しては背骨のS字構造とは別のお話。
背骨が強い衝撃を受けるということは、背骨自体にダメージを与えるということです。ダメージを受けて柱である背骨が骨折なんかしてしまったら一大事です。
そのため、背骨はまっすぐ積むわけにはいかないのです。
そこで、次の図を見てください。
先ほどの図では水平だった上の積み木の底面と下の積み木の天井面を斜めにしています。
実際の背骨はこんなにも斜めにはなっていないので、イメージとしてとらえてください。
この状態であれば、上の積み木が衝撃を受けた場合、この斜めになった面に沿ってスライドすることで、衝撃を緩和してくれます。
衝撃が積み木を動かす力に変換された分、下の積み木に伝わる衝撃が少なくなっているのです。
積み木を動かす力は、最終的に背骨を支える筋肉などに吸収されます。
背骨は以上の理由から、まっすぐ積まれていないのです。
背骨のすべての骨を斜めに積みつつ、背骨を柱としても機能させるため、S字カーブ状に積まれるようになっています。
ストレートネックが問題になるのはこのS字の衝撃緩和機能が軽減されてしまうからです。
本質的な姿勢改善をするなら考え方から見直しましょう
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