僕はベンチプレスを高校生の頃から
今に至るまで約18年やってきました。
その歴史の中で
トレーナーになって
ベンチプレスについて
専門家として向き合うまでは
「ベンチプレスは足で
しっかり地面を踏ん張る」のが
「当たり前」だし
「正しい」とずっと
思ってきました。
その一方で、
ベンチから尻を浮かして
しまうのは
「邪道」
「ちゃんとできていない」
とも思ってきました。
あなたもそんな風に
考えていないですか?
実は、
「地面を足で踏ん張ること」と
「尻を浮かさないこと」
は矛盾しています。
地面を踏めば
尻が上がってしまうのは
当たり前です。
それに気づいてから
試行錯誤を繰り返し、
僕の中でのベストの
ベンチプレスのやり方は
「床を踏まない」ことに
至ったのです。
僕のやり方が
「絶対正しい」とは
思いません。
ただ、
「尻あげは良くないのだろうか?」
「地面は踏ん張ったほうがいいのだろうか?」
と悩んでいるあなたに
とっては、
悩みを取り払う
1つの回答になるはずです。
そこで、今回は、
僕が「ベンチプレスでは
床を踏まない」とは
どういうことなのか
についてお伝えします。
その過程で尻上げベンチの
メリット・デメリットに
ついてお伝えしますよ。
ベンプレスでバーベルを支えているのは何か?
ベンチプレスは自分の体重よりも
はるかに重いものを持ち上げること
ができます。
もし、腕立て伏せでベンチプレスと
同じ重さを持ち上げようと思ったら
できないはずです。
では、なぜベンチでは重いものを持ち上げる
ことができるのでしょうか?
それはベンチが支えて
くれているからです。
中世の鎧(アーマー)は重いもので
50キロほどあり、重い槍(ランス)
も持っていた。
それでも戦いにいけたのは、
その重さを馬が支えてくれたからです。
馬に乗っていなければ
ほとんど動けないでしょう。
実際、馬から落ちてしまった重装騎士は
ほとんど動けず、なぶり殺しに
されてしまったそうです。
なので、馬から騎士を落とすことが
戦術として成立していました。
ハルバードという武器は
騎士を叩き落とすことを
目的としたとも言われています。
ベンチプレスのベンチも
騎士の馬同様、バーベルの重さを
支えてくれるかこそ、
僕たちは重いバーベルを
持ち上げることができるのです。
ベンチの支える力を最大限利用するには?
ベンチの支える力を
最大限利用するためには、
ベンチにしっかりと
乗ることです。
僕たちはベンチと
バーベルの間に差し込まれた
つっかえ棒になるのです。
「ベンチに寝転んでいる
のだから、乗ってるだろ」
と思われるかもしれませんが、
筋肉が強くても重いバーベルを
持ち上げられない場合は、
ベンチに乗り切れて
いません。
例えば、バーベルを胸から
持ち上げる時に肩が浮いてしまう人。
肩がベンチから浮いてしまって
いるということは、
肩まわりの筋肉で
バーベルの重さを支えて
しまっているのです。
だから、肩に負担が
集中して肩を痛めてしまう。
ベンチの支える力を
使い切れていないのです。
バーベルを持ち上げる力
バーベルを持ち上げるのに
もちろん筋肉の力は必要です。
ただ、筋肉の力はバーベルを
持ち上げることに直接使うわけ
ではありません。
ベンチとバーベルの間に
つっかえ棒となる骨を
差し込むために使うのです。
バーベルを直接持ち上げようとして
持ち上げるのと、
ベンチとバーベルの間に
骨を差し込むことでバーベルが
持ち上がるのも、
プロセスが違うだけで
結果は同じです。
ただ、どちらが楽に
バーベルを持ち上げる力を発揮しやすいか
といえば、
骨という物の固さを利用する
後者です。
パワーリフティングの選手は
みんな理解しているかどうかは
わかりませんが、骨をうまく使ってます。
また、骨を活用できることで、
ベンチの支える力もバーベルを
持ち上げる力として活用することが
できます。
作用反作用の法則って
聞いたことありますか?
押せば押し返される
という物理の法則です。
これをベンチに当てはめると
ベンチを押せば押すほど、
バーベルを持ち上げる
力が得られることになります。
ベンチに頼れば頼るほど、
楽にバーベルを
持ち上げられるのです。
骨を活用すると、
バーベルの重さを
ベンチに乗せることができ、
ベンチのバーベルを
押し上げる力を引き出すことができます。
(参考記事「ベンチプレス【常識を疑う!】ベンチプレスはバーベルを押さない〜肘のジャッキ作用〜」)
ベンチプレスで床を踏むとどうなるか?
ベンチプレスのフォームは
一般的には2つのアーチを形づくる
ことでベンチの支える力を
最大限利用しようとしています。
(足上げベンチは1つのアーチ)
背中をベンチにベタづけ
するよりも、アーチをつくって
ベンチに乗る部分を減らすことで
バーベルの重さによって
ベンチを押す力を部分的に集中
させることができます。
そうすることで、
ベンチの押し返す力を
できるだけ得られるように
しているのです。
一方で、バーベルの重さを
足、臀部、肩甲骨(背中)に分散することで
身体への負担を軽減しているとも
言えます。
押すための力と、
身体にかかる負担のバランスを
とろうとした結果が2つのアーチに
なるわけです。
ここまでの話を前提として、
床を踏むとどうなるでしょうか?
実は、お尻をベンチにつけて
おこうとするかどうかで
2つの可能性が考えられます。
床を踏むと臀部がベンチから離れてしまう
臀部がベンチについていることに
こだわらなければ、
臀部がベンチから
離れることになります。
これがいわゆる
尻上げベンチですね。
臀部を浮かすことによって、
2つあったアーチは、
肩甲骨から足裏にかけての
1つのアーチとなります。
なので、背中がベンチを
押す力は強くなります。
また、綺麗なアーチが
できていれば、
床を踏む力も
背中がベンチを押す力
になってくれます。
つまり、床を踏んで臀部が
持ち上げることで、
バーベルを押す力を
2方向から得ることができます。
普段よりも重いバーベルを持ち上げる
こともできるでしょう。
これは、尻上げベンチのメリット
でもあります。
ちなみに、アーチが高くなることで、
バーベルを下ろす高さ自体も上がり、
バーベルの挙上に有利になりますね。
一方で、尻が上がることは
身体への負担を大きくします。
なぜなら、
臀部が浮くことで
ベンチとの接点が減るのに加え、
アーチもきつくなります。
さらに、
アーチが長くなることで
バーベルの重さという
負担が分散しにくくなるからです。
つまり、腰を痛めるなど
身体を痛める可能性が
高まり安全性が懸念されます。
これが尻上げベンチのデメリット
です
アーチは負担を分散する働きをしていますが、
アーチ自体にも負荷はかかっています。
地面を踏んで臀部を浮かして
アーチを高くすると、
アーチがきつくなります。
すると、身体の背面の筋肉全体が
強く使われ、特にアーチの中心になる
腰部に負担がくる可能性が
高くなってしまいます。
柔軟性があれば問題ありませんが、
限界を越えれば、
グギッとくる可能性があります。
また、アーチの端と端の間が広いほど
アーチ自体に対する負担が大きくなります。
橋の上に人が乗ることを
イメージしてもらえれば
わかりやすいでしょうかね。
上図のように橋でも、長い距離のものになれば、
間に何本もの橋脚をかましています。
これは、橋がより重いものを乗せても
倒壊しないように支えるためです。
アーチが長いと、
アーチ自体の強度に頼る部分が
大きくなります。
つまり、ベンチプレスにおいて
アーチを維持するために
強い筋肉の力を必要とするため、
前述同様、腰への負担が高まる
可能性があるのです。
尻上げベンチをするなら、
ここでお伝えしたような
メリット・デメリット
を頭に入れておいた方がいいでしょう。
床を踏むとアーチが下がってしまう
お尻をつけようとしたまま
床を踏んだ時に何が起こる
かというと、
自分の力が原因で
せっかくつくった
アーチを下げてしまうこと
になります。
床を踏んだ力は
地面での反作用を通して
骨盤を後傾させるように
働きます。
自らアーチを下げる
力を出してしまっているのです。
アーチが下がると
バーベルを持ち上げる力も
小さくなってしまうので
アーチを保とうとします。
すると、アーチを下げる力と
アーチを高くしようとする力が
ぶつかり合います。
床を踏む力を入れれば入れるほど、
アーチを維持するために必要な力は
増えることになり、
結果として、アーチをつくる
腰の筋肉に負担をかけ、
腰を痛める原因になってしまいます。
床を踏むほど、
力を入れている感覚は強くなりますが、
それがバーベルを挙げる力として
伝わらない上に、
腰を痛める危険性を高めるという
残念な状態を引き起こしているのです。
ちなみに、お尻がどうしても
ベンチから離れてしまう
と悩んでいる話を聞くことが
ありますが、
解決法は簡単です。
床を踏まなければ
いいのです。
床を踏まないとはどういうことか?
床を踏まないとは、
「できるだけ筋肉以外の力を
利用してバーベルを支える」ことです。
自分がバーベルとベンチの間の
つっかえ棒となるための方法です。
つっかえ棒が自ら床を押したりは
しませんよね?
何かと何かの間に
挟まっているだけです。
筋肉の力は、自分の身体を
つっかえ棒として働かせるために
使います。
床を踏まないからといって
脚に力が入っていないわけでは
ありません。
筋肉の力は
バーベルを持ち上げるために
自ら力を入れるのではなく、
バーベルの重さに対応するように
力が入ってくるものなのです。
そのためにはバーベルの重さを
受け止めやすいフォームを
作っておく必要があります。
そう考えると、
バーベルを持つ手の手幅バーベルを持つ手の手幅や
足の位置はおのずと決まってきます。
なぜベンチプレスでは床を踏まないことをすすめているか?
トレーニングに絶対正しい方法は
ありません。
身体の形は一人一人違うし、
トレーニングの目的も違います。
ただ、怪我をしたくないのは
誰でも同じはずです。
自分のやっているトレーニングの
危険性を理解してやっているのなら
問題ないですが、
知らず知らずのうちに
危険なトレーニングをやっている
という事態にあなたになって
ほしくないのです。
「ベンチプレスは床を踏まない」
のをおすすめしているのは、
安全性を高めながら
大きな力も発揮できる
バランスのとれた方法だからです。
「最小限の負担で最大限の力を発揮する」
これが僕の目指すトレーニングです。
別に僕がお伝えした通りに
やる必要はないです。
僕の考えを押し付けたい
わけではありません。
あなたのフォームやトレーニングのやり方が
「なぜそのフォームなのか」
「なぜそのように動かすのか」
人からの受け売りではなく、
自分なりの根拠を持って
やったほうがあなたのために
良いと思います。
僕は、手や足の位置に
限らず、感覚にいたるまで
根拠を持って行うようにしています。
もし、僕のやり方に興味があれば、
別のページでベンチプレスのフォームを
組む手順も公開しているので、
よければご覧になってください。
→「【初心者必見】身体を安定させ最大限の力を伝えられるベンチプレスフォームの組み方」
本質的な姿勢改善をするなら考え方から見直しましょう
記事を読んでいただいてありがとうございます。
僕は【身体と心を「楽」にして人生をより快適する】
ということをテーマに情報発信しています。
姿勢は、生まれてから死ぬまで365日24時間
ずっと関わることになるものです。
なので、その積み重ねの影響力は大きいものです。
姿勢次第で自分の身体に枷をかけ
身体の動きを抑え込んでしまったり
身体を痛めてしまうことがあれば、
意識せず自分自身を抑え込んでいる
枷から自分を解放し
身体を軽やかに痛みなく
思い通りに動かせることになります。
身体と心はつながっていて
不可分な関係なので、
身体の調子が悪ければ
心も当然暗くふさぎ込んで
しまうことになるし、
調子が良ければ明るく
前向きになってきます。
つまり、姿勢を改善することは、
最も簡単で確実な自己改善法なのです。
しかし、姿勢について学ぶ機会はほぼなく、
「なんとなくこうだろう」という
常識で固められてしまっています。
そのため、姿勢を良くしようと
努力しているにもかかわらず
姿勢が一向に良くならないという
状態になってしまっていることを
よく聞きます。
根本から姿勢改善するためには、
この常識から抜け出さなくては
なりません。
姿勢改善に必要なのは
「背筋を伸ばすこと」でも
「胸を張ること」でも
「筋肉をつけること」でも
「意識すること」でも
ありません。
本当に必要なのは
「姿勢の本質を理解すること」です。
そこで、僕は根本的な姿勢改善できる人
が少しでも増えるように、
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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