上腕三頭筋は二の腕にある筋肉です。
三頭あるし、実は肩甲骨に付着していたりするので、意外と複雑な筋肉だったりします。
上腕三頭筋(Triceps brachii)


起始
・長頭(long head):肩甲骨の関節下結節
・内側頭(lateral head):橈骨神経溝よりも遠位の上腕骨後面、および内側上腕筋間中隔
・外側頭(medial head):橈骨神経溝よりも近位の上腕骨後面、および外側上腕筋間中隔
停止
尺骨の肘頭
作用
・肘関節に対して:伸展
・肩関節に対して:上腕の後方挙上と内転(長頭)
神経支配
橈骨神経(C6~C8)
コメント
肘屈曲の筋肉である、上腕二頭筋、上腕筋を合体させた、肘伸展バージョンのような筋肉です。
ただし、こちらは三頭のうち二頭(内側頭、外側頭)は上腕骨に付着しているのに対し、屈曲側は、肩甲骨に対して二頭(上腕二頭筋長頭、短頭)付着しています。
スポーツやトレーニングしていないと、なかなか使われにくい筋肉なので、一般的には弱化しやすいです。
ただ、肩甲骨が動いていないにもかかわらず、背中を寄せよう、肩甲骨を寄せようとすると、肩甲骨に対して上腕骨が近づく肩関節内転が起こってしまい、長頭に力が入り続けてしまって凝り固まってしまうということはあります。
長頭が肩甲骨に付着しているので、背中の筋肉と連動し、肩甲骨を寄せることで、肩の伸展(腕を身体よりも後ろに引く動き)がしやすくなります。
上腕三頭筋自体は、肘をひねるという動作には加わらないのですが、パソコン作業のように、肘を回内させている時間が長いと、上腕三頭筋(特に外側頭)が凝ってしまうということがあります。
下図は左腕の動きです。

これは、肘関節を回内させると、どうしても肘を体側から外側に開きやすくなってしまう(肩関節外転)んですよね。
そうなると、上腕三頭筋(特に外側頭)が腕の重さを支えなければならなくなり、凝り固まることになってしまうのです。
パソコン作業をするときは肩の真下に肘がくるようにするか、肘を机に置くなどして腕の重さを支える必要性を減らしてやることで、負担を軽くすることができます。
上腕三頭筋は、大きな力を発揮できる羽状筋になってます。
特に、表面に見える腱が大きくて印象的ですね。
この腱は上腕三頭筋に力をこめると盾のように固くなります。
だから、何かあって身を守るものがないときには苦肉の策として、固めた上腕三頭筋の腱が盾がわりに使えるかもしれません。
上腕三頭筋が大きな力を発揮できるのは、4足だった頃の名残かもしれません。
4足で活動していたら、前足は上腕三頭筋が働いていないと身体が支えられないですからね。
ただ、2足になった人にとっては、あまり活動しない筋肉になってしまいました。
もし、腕を太くしたいと思ってトレーニングするならば、この上腕三頭筋を鍛えると腕を太くしやすいですよ。