ベンチプレスで迷うことのひとつに、
手幅(グリップ幅)があるのではないでしょうか?
それもそのはず。
正直「絶対にこれが正解」
という手幅はありません。
人によって
身長や手の長さといった
体格も違えば、
「大胸筋を鍛えて厚い胸板」
「上腕三頭筋を鍛えてぶっとい腕」
「とにかく挙上重量を高めたい」
など、
ベンチプレスに求める
目的も人によって違います。
なので、単純に
「肩幅の何倍」みたいに
数字で決めつけられるものでは
ありません。
自分で探していかなければ
ならないのです。
とはいっても、
ベンチプレス初心者だったら
どう探したらいいのか
わからないですよね。
ベンチプレスに最適な手幅は
身体の構造と物理との関係から
導き出すことができます。
そこで今回は、
ベンチプレスの基本について
簡単に触れてから、
最適な手幅の探し方ついて
お伝えしていきます。
ベンチプレスの基本
まずはベンチプレスの基本に
ついてお伝えしてきます。
僕はちょっと変わった理解の仕方
をしているので、
ベンチプレス初心者だけでなく
中・上級者にとっても
新しい視点が得られると思うので
ぜひ読んでみてください。
まず、ベンチプレスとは
どんなトレーニングでしょうか?
僕が一言で表現するとしたら
「ベンチに寝転んだまま
バーベルを手に乗せて
肘を曲げ伸ばしする
トレーニング」
と表現します。
ベンチプレスは動作の軌道が
決まっているマシンではなく、
動作の軌道が決まっていない(フリー)
なトレーニングです。
つまり、バーベルは重力に従って
真下に落ちてきます。
この重力の視点は
忘れてはいけません。
ベンチプレスで重要なのは
バーベルを「押す」力ではなく
「乗せて」おく力なのです。
「乗せる」と「押す」は
文字で書けばまったく違う
とわかりますが、
トレーニングにおいては
混同されがちなので
注意が必要です。
(参考記事「乗せると押すの違い」)
バーベルを支えるときは、
筋肉の力でバーベルを
押し返すように
支えるのではありません。
骨でバーベルを支え、
筋肉で骨を支えるようにします。
骨がバーベルを支える
つっかえ棒の役割を果たす
ことできるように
筋肉が手伝ってあげる
という関係です。
ベンチプレスでは
「自分はバーベルを乗せる置物なんだ」
というイメージがあると
骨で支えやすくなります。
(参考記事「【目指せベンチ100kg】ベンチプレスで筋肉はそのままに挙上重量を10kg伸ばした方法」)
ちなみに、骨にバーベルを乗せて支えられるほど
バーベルを上下させるために筋肉の力が
使えるので、挙上重量が向上しやすくなります。
逆にうまく乗せることができないと、
筋肉や関節の一部に負担が集中してしまって、
身体を痛める原因にも
なりかねません。
手幅を考える上で絶対外しちゃダメなポイント
ベンチプレスの手幅は
どんな手幅でも間違いでは
ありません。
ただし、絶対に外しちゃ
いけないポイントがあります。
それは
「バーベルを手に乗せたときに
ベンチに背中が強く押し付けられること」
です。
骨でバーベルを支えられるほど、
背中はベンチに強く押し付けられます。
どんな手幅であってもです。
ベンチに背中が押し付けられる
感覚よりも、
手首に負担がかかって
押し曲げられるような
感覚が強かったり、
肩の前側に力が入っているような
感覚が強かったりしたら、
肩や手首に負担が集中して
痛める原因になります。
僕もこれに気づくまでは、
肩に負担を集中させているのに
気づかず、
ベンチプレスで肩を
を痛めたことがあります。
手首や肩に違和感があるなら
手幅うんぬん以前にフォームを
改善したほうがいいです。
トレーニングをする上では
なによりも怪我しないことが
もっとも大切です。
怪我したらトレーニングが
できなくなってしまいますからね。
フォーム改善においては、
手首に重さや違和感・痛みがある場合は
「ベンチプレスで手首を痛めないためのフォームのポイント」の記事を
肩の前側に重さや違和感・痛みがある場合は
「ベンチプレスは胸がメインの全身トレーニング~胸の筋肉を意識する弊害~」の記事
が参考になると思います。
ちなみに、バーベルを手に乗せたときに
ベンチに背中が強く押し付けられる感覚は、
ベンチプレスの動作中
ずっと感じることになる感覚です。
その感覚が消えたとき、
一気に力が抜けてバーベルを
落としてしまうことが
あるかもしれません。
気をつけましょう。
手幅で変わること~肘の向き~
手幅の広さの違いは
ベンチプレスにどのような
変化をもたらすのでしょうか?
率直にいえば、
バーベルを胸に下していくときの
肘の向きが変わります。
手幅が広く(ワイド)なればなるほど、
肘の向きは外向きになるのに対し、
手幅が狭く(ナロー)なればなるほど
肘の向きは下(足の方)向きになります。
これは、バーベルをつかむことで
手がある程度固定されるからです。
無理やり肘の向きを変えられない
ことはないですが、
手首の負担が大きくなり、
先ほどお伝えした
バーベルを手に乗せたときに
ベンチに背中が押し付けられる感覚
が弱くなってしまいます。
軽めの重さにして試してもらうと
実感してもらえると思います。
危険なので、あくまで
自己責任でお試しを。
肘の向きが変わることで何が変わるのか?
では、肘の向きが変わることによって
何が変わるのでしょうか?
それは、ベンチプレスの際に
メインで使われる筋肉が
変わります。
ベンチプレスでは主に
腕を内側に動かす「大胸筋」
肘を伸ばす「上腕三頭筋」
が使われます。
手幅を広くして
肘が外向きになると大胸筋
が使われやすくなります。
手幅が狭くて
肘が足向きになると、
大胸筋が使いづらくなって
上腕三頭筋に頼る部分が
大きくなります。
つまり、ベンチプレスで
大胸筋を鍛えるのが目的であれば
手幅を広く持ち、
上腕三頭筋を鍛えるのが目的であれば
手幅を狭く持つと
効率的な方法になります。
まあここまでは知識として、
あるいは経験的にあなたも
知っているかもしれません。
では、なぜそのような違いが
生じるのでしょうか、
不思議に思いませんか?
これは大胸筋の線維の向きを
見るとわかりやすいです。
大胸筋は胸の骨(胸骨)や鎖骨から
腕の骨に向かって扇のような
付着をしています。
筋肉は縮むことによって
力を発揮するので、
大胸筋が縮むと、
腕の骨(上腕骨)を
胸の骨のほうへ近づける
つまり、腕を内側に
動かす動きをします。
ベンチプレスでバーベルを下げるときに、
肘が外を向いて曲がってくれれば、
バーベルを挙げるときに
腕が内に動かしやすく、
大胸筋が使われやすくなります。
だから手幅が広いと
大胸筋がメインで働きやすいのです。
ちなみに、バーベルを
挙げるときには肘を
伸ばそうとしないほうが
強い力が出せます。
どういうことかというと、
ベンチプレスを見ると、
肘を伸ばす様子に
見えるけども、
肘を伸ばそうとしたら
上腕三頭筋に先に
力が入ってしまい、
大胸筋の力をバーベルに伝えに
くくなってしまいます。
手がバーベルで固定され、
大胸筋で腕を内側に動かされた結果、
肘は伸びてくるのです。
詳しく知りたい場合は
「【常識を疑う!】ベンチプレスはバーベルを押さない〜肘のジャッキ作用〜」
を見てください。
話を戻して、
手幅が狭くて
肘が足向きになると、
腕を内に動かすという
大胸筋が使いづらくなります。
もちろん、大胸筋が大きな
力を出すことになりますが、
大胸筋全体というより、
鎖骨からついている部分
が使われることになります。
大胸筋の力が減った分、
上腕三頭筋に頼る部分が
大きくなるのです。
だから、手幅が狭いと
上腕三頭筋が使われやすいのです。
ベンチプレスに最適な手幅
ベンチプレスに最適な手幅を
最も効率よくバーベルに力を
伝えられる手幅と定義します。
怪我なく安全という前提の上に、
最もあなたの身体で重いバーベルを
持ち上げられる手幅になります。
つまり、できるだけ全身の力を
使うための手幅といえます。
(参考記事「ベンチプレスは胸がメインの全身トレーニング~目的意識をもったトレーニングをしよう~」)
なので、
「大胸筋を鍛えたい」
「上腕三頭筋を鍛えたい」
というのがあなたの最も優先する
ベンチプレスの目的である場合は、
ここまでに書いた話を
参考にしてください。
では、ベンチプレスで最適な手幅の見つけ方、
探し方についてお伝えします。
ベンチプレスの手幅を決める際に
やっかいなことがあります。
それは、ベンチプレスの動作の中で、
適切な手幅は常に変化するということです。
バーベルをラックから
外した時は軽かったのに、
下ろしはじめた途端に
急に重く感じるといった経験から、
なんとなく認識している人も
いるかもしれませんね。
関節の動きというものは、
回転運動をするような構造
になっています。
(参考記事「身体の動きは回転運動〜力を無駄なく伝えるために考えるべきこと〜」
そして、大胸筋に関わる
関節も例外ではありません。
バーベルを掴んでいないときの、
大胸筋による腕の動きを考えて
みましょう。
肘を伸ばし
腕を肩の高さまで挙げたまま、
大胸筋を最も収縮させると、
腕は内側(水平屈曲・水平内転)
に動きます。
肩甲骨も開いて
背中は丸まります。
逆に大胸筋を伸ばすように
腕を外側(水平伸展・水平外転)
に動かすと、
腕は開いていき、
肩甲骨が寄ってきます。
そして、腕は横から
柔軟性の高い人だと
後方まで広がります。
この両者の場合に
手のある位置が
無理のない手幅になります。
そうなると、
両者を比べたときに
手のある位置がまったく
違いますよね。
つまり、大胸筋の働きによって
適切な手幅は変化するのです。
もちろん、実際のベンチプレスでは
肘や手首の曲げ具合で調整されるものの、
適切な手幅が
バーベルを持ち上げたときと、
バーベルを胸に下ろしたときでは
違います。
動作の中で適切な手幅が
変わることは間違いないです。
これは誰でも起こることであり、
例外はありません。
ここまで大丈夫ですかね。
問題はベンチプレスの動作の中で
どのタイミングの手幅に合わせるか
ということです。
結論からいってしまうと、
バーベルを胸に下ろしてきたときに
焦点をあてるべきでしょう。
なぜなら、
バーベルを胸に下ろしてきたときに、
身体の構造上、
1番力を発揮しにくくなるからです。
ざっくりいえば、
骨で支えづらくなるのです。
肘を伸ばしていれば
骨をつっかえ棒にしやすいですが、
バーベルを下したときは
肘が曲がるのでそうはいきません。
ベンチプレスをやったこと
ある人ならわかってもらえますよね。
バーベルをラックアップして
胸の上には持ってこれても、
それを、胸まで下ろして挙上できる
とは限らないです。
だからこそ、このバーベルを胸に下ろした
ところに照準を合わせて手幅を決めていきます。
最も力が弱いところで
有利になるように
合わせるわけですね。
では、バーベルの手幅を見つける
決め手となるものは何でしょうか?
これは、どれだけ背中の筋肉に
力を入れられるかにかかってきます。
ベンチプレスではアーチが
高ければ高いほど
バーベルに力を伝えやすく
なります。
このアーチをつくるために
背中の力が必要なのです。
もし、背中の力が入らないと、
アーチをつくる負担が腰に集中
してしまい、腰を痛める原因になってしまいます。
(参考動画「身体を丸める4つの部分と身体を反らす4つの部分~前後バランスと負担配分~」
背中の筋肉に力が入れば入るほど、
肩甲骨は寄せられ、胸が張られていきます。
腕の骨は肩甲骨と連結しているので、
肩甲骨が寄ることで、腕の骨も動きます。
どのように動くかというと、
腕と腕の幅が広がるように動くのです。
つまり、背中の力が入れば入るほど、
手幅は広くなることになります。
以上を踏まえ、ベンチプレスで
最適な手幅の見つけ方の
具体的な方法についてお伝えします。
図にある掌底部分というのは、
別の記事で書いた、
バーベルを乗せる位置です。
(参考記事「ベンチプレスで手首を痛めないためのフォームのポイント」
肘の曲げ角度は、なんとなく
90度くらいがちょうどいいような気もします。
ただ、ベンチプレスでは
アーチをつくるのに
背中の力最大限利用できるように
背中の力がもっと強く感じられる
角度にします。
肘の開き角度をゆっくり変えていけば、
力こぶに力が入る感覚が少なく、
かつ前腕にも違和感のない角度が見つかります。
だいたい肘を90度よりも少し
曲げたくらいの角度です。
その角度がベンチプレスの際に
バーベルの重さをベンチに
伝え続けることができる肘の角度
なのです。
この手幅の見つけ方を座って行うのにも意味があります。
背中の筋肉でも力の強い
広背筋の収縮は、
腕を背骨に近づけるという
内か外かの動きだけでなく、
骨盤方向に近づける向きの動きも
加わってきます。
なので、座ることによって、
腕の重み自体が広背筋の収縮を
助ける形になります。
もちろん、この手幅の探し方は、
実際のベンチプレスを行う際とは
違う姿勢になっているので、
おおよその目安の役割を
果たすに過ぎません。
その時の身体の状態、
アーチの高さ、
柔軟性や筋力なども影響します。
(参考記事「ベンチプレスでバーベルを下ろすべき位置はアーチの高さで変わる」
なので一定ではなく、常に変化する
と考えておくべきです。
この方法で導き出した手幅を元に、
ベンチプレスを実際に行いながら
微調整をする必要はあります。
適切な手幅にする事ができれば、
バーベルを筋力ではなく骨で支えているような、
力を出すために力むのではなく、
必要な力を引き出されているような
そんな感覚を体感できるはずです。
この手幅の探し方は
「肩幅の何%」といった
画一的な探し方ではなく
あなたの身体の形、
身体能力から導き出した
ジャストフィットの手幅です。
ぜひ、この方法で、
誰の手幅でもない、
あなただけのベンプレス最適手幅を
探してみてください。
追伸
別の記事で、ベンチプレスを行う手順に
ついても公開しています。
興味あればどうぞ。
→「【初心者必見】身体を安定させ最大限の力を伝えられるベンチプレスフォームの組み方」
本質的な姿勢改善をするなら考え方から見直しましょう
記事を読んでいただいてありがとうございます。
僕は【身体と心を「楽」にして人生をより快適する】
ということをテーマに情報発信しています。
姿勢は、生まれてから死ぬまで365日24時間
ずっと関わることになるものです。
なので、その積み重ねの影響力は大きいものです。
姿勢次第で自分の身体に枷をかけ
身体の動きを抑え込んでしまったり
身体を痛めてしまうことがあれば、
意識せず自分自身を抑え込んでいる
枷から自分を解放し
身体を軽やかに痛みなく
思い通りに動かせることになります。
身体と心はつながっていて
不可分な関係なので、
身体の調子が悪ければ
心も当然暗くふさぎ込んで
しまうことになるし、
調子が良ければ明るく
前向きになってきます。
つまり、姿勢を改善することは、
最も簡単で確実な自己改善法なのです。
しかし、姿勢について学ぶ機会はほぼなく、
「なんとなくこうだろう」という
常識で固められてしまっています。
そのため、姿勢を良くしようと
努力しているにもかかわらず
姿勢が一向に良くならないという
状態になってしまっていることを
よく聞きます。
根本から姿勢改善するためには、
この常識から抜け出さなくては
なりません。
姿勢改善に必要なのは
「背筋を伸ばすこと」でも
「胸を張ること」でも
「筋肉をつけること」でも
「意識すること」でも
ありません。
本当に必要なのは
「姿勢の本質を理解すること」です。
そこで、僕は根本的な姿勢改善できる人
が少しでも増えるように、
姿勢の本質から理解を深め改善する方法を
電子書籍にまとめました。
本来はAmazonで有料で販売しているものですが、
メルマガの中で今だけ無料で公開しています。
図を多く取り入れていて
読みやすい内容になってますので、
もし興味あれば読んでみてください。
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メールアドレスを入力すれば
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また、メールマガジンに登録してもらった人には、
さらに30日間にわたる「姿勢改善メールセミナー」
も無料でお送りしています。
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姿勢の常識から抜け出し、
姿勢の本質への理解を一気に
深めてもらうことができます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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