あなたはデッドリフトを腰のトレーニングと思っていませんか?
トレーニング関連の書籍の中でも、デッドリフトが背中や腰部のトレーニングとして分類されている例をいくつも見た記憶があります。
腰のトレーニングの認識でデッドリフトを行ってしまうと、デッドリフトで腰を痛めてしまう危険性が格段に高まってしまいます。
もちろん、腰部にも力が入るので、腰のトレーニングといえないこともありません。
しかし、腰のトレーニングとされているバックエクステンションとデッドリフトは、まったく別種のトレーニングです。
バックエクステンションは背骨(腰)を反らしていくトレーニングなのに対し、デッドリフトはバーベルを持ったまま立ち上がるトレーニングです。
デッドリフトを背骨(腰)を反らしながら行うと、腰部に負担が集中してしまいます。
下の図は、腰で支える場合と腰で持ち上げる場合の動作のイメージ図です。

イメージ図なので、背骨の部分を直線で表現していますが、実際は、生理的湾曲であるS字カーブ状になっています。
腰を反らさない場合の腰部の筋肉は、背骨のS字カーブ、イメージ図でいえば、直線を保つために使われます。
腰を反らす場合はの腰部の筋肉は、バーベルを持ち上げるために動員されています。
そのため、負荷が腰部に集中し、腰を痛める原因になってしまうのです。
ちなみに、イメージ図にはありませんが、腰が丸い場合はどうでしょうか?
腰が丸くなってしまった場合も、イメージ図でいう背骨の直線を維持できなくなっている状態です。
この直線のときにバーベルの重さは下半身に乗せることができるので、身体は無意識に、背骨を直線にしようとします。
丸まった背骨を直線にしようと、常に腰部の筋肉が働かされることになるので、これも腰を痛める危険性が高いです。
なんなら、もっとも危険かもしれません。
腰を反って挙げようとしていた時は、自分の意思によって反らすことになりますが、腰が丸くなってしまうと、バーベルを手から離さない限り、支えているだけにもかかわらず負荷によって腰の筋肉が動員させ続けられることになります。
トレーニングを行っている本人が、自分の腰が丸まった状態にあるのか、反れた状態にあるのか、イメージ図でいうところの直線になっているのか、確認するのは難しいです。
なので、デッドリフトを行っている最中に、「腰の負担が強い気がする」「腰あたりの筋肉だけにやたら力が入っている気がする」場合は、腰痛予防のためにすぐに手を離すことをおすすめします。
腰部を痛めてしまうと、元通りに違和感なく動けるようになるまでに、数か月を要する場合もあります。
そうなると非常にもったいないです。
トレーニングは安全面を第一に考えて行いましょう。