僕がパーソナルセッションで目指す1番のところは、もちろんお客様の目的に合わせながら、身体を動かしやすくしたり、痛みを軽減したりといった、「身体を楽にする」ことにあります。
ただ、僕個人としては、それとは別に理想というか目標を持っていまして、それは、「身体が楽になる」という結果だけでなく、「なぜそうなるのか?」という「理解」をしてもらうことにあります。
お客様から先日きいたお話で、その理想を実現できていたことを知ったので、今回はそのことについて書いていきます。
僕のお客様で、看護師をしている方がいらっしゃいます。
その方に、つい先日言われた話です。
そのお客様が、仕事で車椅子に乗っている患者さんの看護をしていて、その患者さんがいつも「腰が痛い」と訴えていたそうです。
そんな折、僕のセッションを受けるようになって、姿勢について理解していき、自らの姿勢や身体の使い方にも注意するようになってこられました。
すると、再びお客様が車椅子の患者さんの看護をしたときに、
「もしかしたら、腰が痛いのは、この患者さんの座る姿勢に対して車椅子の形状が合っていないのかもしれない」
と思ったそうです。
とはいっても、車椅子の形状を変えることはできません。
ただ、その患者さんは、男性で、車椅子に乗っているときは、いつも足を載せる台に足を置いていたそうです。

そこで、お客様は車椅子を動かしていないときに、足を台から降ろしてもいいことを伝えました。
すると、患者さんは即座に足を降ろしたそうです。
おそらく、患者さんは車椅子に乗っている間は、足を台に乗せておかないといけないと思っていたのでしょう。
それからは、そんなに「腰が痛い」ということも聞かなくなったそうです。
姿勢について少し触れておくと、座り姿勢は3つの90度が基本です。

車椅子は個人に合わせたものではなく、病院に置いてある共有のものでしょう。
そして、車椅子の足を置くところは地面から少し上のところにあるので、椅子の座面と足を置く台のところが短いと考えらます。
そのため、膝が股関節よりも高い位置にきている可能性が高く、股関節の角度が90度よりも小さくなり、窮屈に感じていたと思います。
その窮屈さを解消するためには、上半身を後方に傾けるか、骨盤を後傾させて腰を丸くするしかありません。
車椅子の背もたれは、ほとんど地面に垂直に近いと思うので、上半身を後方に傾けることはできず、結果的に骨盤を後傾せざるを得ません。
すると、骨盤の上に背骨の腰部分が積みあがらず、腰の筋肉に無用の負担をかけることになります。
すると、腰が痛くなるのは当然です。
お客様が気づいた、
「患者さんの腰が痛いのは、姿勢と車椅子の形状が合っていないのではないか?」
という疑問から、
できる範囲の中で、「車椅子の足を載せる台」から足を降ろしてもらうという判断に至ったのは、すばらしいことだと思います。
それを聞いて僕もうれしくなりました。
お客様がきちんと理解してくれているということも嬉しいし、そのことが僕自身も知らない誰かを助けていたことも嬉しかったです。
これからも、少しでも理解してくれる人を増やすために頑張ろうと思いました。