スクワットは、別の記事でお伝えしたように、バーベルを担いだ場合、重心が高くなってバランスが不安定になりやすいことに加え、重い負荷を身体に乗せていることになるため、特に腰を痛める危険性が高いトレーニングです。

そのため、腰部にかかる負担が少なくなるようにするというのも必要です。

しかし、トレーニングにおいて最も重視しなければならないのは安全性です。

負担が少ない方法が、必ずしも身体傷害の危険性を少なくしてくれるとは限りません。

そこで、今回はバーベルスクワットにおける腰痛になる危険性を減らすための、あまり今まで指摘されてこなかったであろう視点からの注意点についてお伝えします。

ちなみに、バーベルを担がない自重でのスクワットには、今回の注意点は当てはまりません。

また、背骨のS字カーブがきちんと保つことができることが前提での注意点になります。

腰が丸くなってしまうのは、身体の使い方や柔軟性の問題である可能性が大きいので、今回の注意点以前に、それらを改善することが必要でしょう。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、その注意点とは、「上体の前傾を保つこと」です。

スクワットとバーベルとの関係性については、別の記事でお伝えしました。

簡潔にいえば、バーベルの位置と上体の前傾具合との関係性は、上体を倒せば倒すほどバーベルをより下の臀部方面の位置に、上体が起きれば起きるほどバーベルを上の肩や首元方向に位置すべきという関係性はあります。

上の画像を見てもらうと直感的に、右側のように状態を直立させたほうがバーベルを支えやすいのではないかと感じませんか?

実際、その通りで、感覚的にも実際の身体に対する負担からいっても、上体を直立させたほうが、楽にバーベルを支えられますし、背骨で大部分を支えることができるので、筋肉にかかる負担も少なくなります。

それにもかかわらず、僕はスクワットでは上体を前傾すべきであると考えます。

普段は「身体に負担が少ないように」と言い続けている僕ですが、スクワットに関して上体を直立させることは、たとえ、身体に負担が少なくてもおすすめしません。

上体は前傾すべきなのです。

それはなぜでしょうか?

もちろん、本記事冒頭少し触れたように、上体を直立させていると腰部を傷害する危険性が高いからです。

身体の負担が少ないのに、傷害の危険性が高い?

どういうことでしょうか?

傷害の危険性が増す理由のひとつに、上体を起こすことで重心が高くなって不安定になってしまうことが挙げられますが、大きな理由ではありません。

最も大きな理由は、バーベルの負荷が分散されないことです。

これを考えるためには、バーベルと身体との物理的関係性について考える必要があります。

上の図のように、上体を起こした場合は、バーベルの負荷を分散しづらいのに対し、上体を前傾することでバーベルの負荷を分散することができるのです。

ただ、負荷を分散できたからといって、傷害の危険性が減少しているとはいえません。

上体を起こしたほうが背骨で支えることができて筋肉の負担を減らしてくれるので、むしろ、上体を起こしてバーベルの負荷を背骨に集中させたほうが良い気さえしてきます。

実際に試してもらえるとわかりますが、上体を起こしたほうが格段に姿勢も保ちやすいです。

それでもなお、上体を起こすことはおすすめできません。

ちょっと理解しづらいかもしれませんが、上体を起こして背骨に負荷を集中させることは諸刃の剣なのです。

やっかいなのは、背骨が棒状ではなく、椎骨という骨のブロックが積み重なった構造になっているという点にあります。

そのおかげで、バーベルの負荷が二面性ともいえる働きをするのです。

バーベルの負荷は、椎骨が適切に積まれている状態では、椎骨同士を押し付け、背骨がより強固な柱になってくれるのをむしろ助けてくれますが、椎骨がずれた場合には、背骨のタワーを一気に崩壊させる力にもなってしまうのです。

上の画像では1番上の積み木がずれていますが、もし、これが積み木の下のほうでずれたならどうなるでしょうか?

積み木に働く重力方向の力は、積み木自体の重力どころではなく、体重の一部に加えてバーベルの重さが加わっています。

少しのずれが、筋肉に一瞬にして、過大な負荷をかけることでしょう。

日常の姿勢の崩れとは比べ物になりません。

しかも、上体を起こしたスクワットは、バーベルの位置が高いために、重心が高く不安定という背骨がずれやすい状態にあります。

さらに、背骨に頼って支えていることによって、筋肉も緩んでしまっているため、急なバランスの崩れに対して対応が、上体を前傾させている場合に比べてどうしても遅れてしまう状態にあります。

そもそも、背骨の構造自体が、椎骨をわずかにずらすことで力を分散させる構造になっています。

そう考えると、上体を起こしてバーベルを担いでスクワットするのは、想像以上にハイリスクになります。

以上から、自分自身もそうですが、お客様に対しても、スクワットでは上体の前傾を保ってもらうようにお願いしています。

僕がこの上体を起こす危険性へ気づいたきっかけは、実際に、トレーニングでスクワットの挙上重量を向上させるために上体の傾きを検証していたときでした。

自分にとって軽い負荷なら問題ありません。

しかし、1回立ちしゃがみできるかどうかの重さで上体起こしぎみすると、わずかに身体が揺れてしまったときに、背骨がまさにずれるような感覚を覚え、「あ、これは腰折れてしまう」という恐怖を感じたことがあるのです。

それも1度や2度ではありません。

そのうち数回は腰を痛めてしまいました。

特に、バーベルをラックから持ち上げて、スタートするポジションに移動するときは危険です。どうしても身体が揺れてしまうんですよね。

重たい重量でスクワットする人は、楽だからといって安易に上体を起こさないように注意してください。

 

 



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